2009/08/28

ITリスクの考え方

※ 今日読み終えた本 ※
著者:佐々木 良一
発行:株式会社 岩波書店
2008年8月20日 第1刷発行

書名:ITリスクの考え方

今日読んだ本ではなく、夏期休暇(盆休み)で読んだ本である。
著者の経歴及び出版社でも判る様に非常に、堅い、学術的な本であった。
情報セキュリティーについて知るには優れた本と思える。
でも、正直言って難しい内容である。セキュリティー自体が難しい概念だから致し方ないと思う。

ITに関してセキュリティーやそのリスクについて述べてあるが、普段の生活でのセキュリティーやリスクと何ら変わりはないと思う。
政府のガイドラインや世の中の標準化、デファクト・スタンダードがあり、これに従い、どう自己防衛するか、ということについては、
ITであろうが、生活であろうが同じと思う。
ただ、IT取り分け、ITを運営する側の立場(生活をする立場)になると、それなりの周囲環境の技術・脅威と立ち向かうことが必要となる。

難しい技術論は別にして、自分を取り巻く事象にITリスクを再考する一つの素材がある。
会社は来るべき東海沖地震や災害に備え、安否確認システムを構築した。
仕組みは至って簡単である。
1.会社は災害が発生したら、従業員全員に安否確認のメールを送信する。(基本は携帯メール)
2.メールを受信した従業員は安否状況をメールに記述されたWebサイトに安否状況を返信する。
3.管理者は、指定されたWebサイト(当然、セキュリティーのガードはされている)にアクセスし、部下の安否状況を確認する。
4.管理者は、安否状況に応じて、定められた対応を行う。
5.会社は、この安否状況と対応状況を数字で把握する。
しかし、ここで色々な問題(リスク)がある。(問題が判った、とも言うべきかも。)
1.従業員が会社へ提出する個人情報は、自宅の電話番号しか規定では記述されていない。
  携帯メールを会社が要求することは、会社が貸与するか、就労条件として携帯メール(Webアクセス可)の保持と申告が規定されなければならない。
2.管理者は、Webサイトに加入しておく必要がある。
  管理者の資格条件の規定では、「Webサイトの加入」が条件になっていない。
  (インターネットを家庭で利用すっることが一般化していても、加入していない管理者もいる。)
つまり、携帯を持たない従業員はいるし、インターネットを家庭に導入していない管理者も実際にはいる(いた)。
これは一つのITリスクである、と私は解釈した。
世の中で一般的になっているから、すべてに通用することはあり得ない。
会社が負うリスク、従業員が負うリスクが具体的にあぶりだされる。会社の価値観と従業員(含む、管理者)の価値観に相違があれば、
この解決策は困難を迎える。そこにリスクがある。

著者は巻末を下記の言葉で終えている。
「漏らすな情報、閉ざすな心」

感情に走ることは人間の性である。しかし、これを押し通すだけでは世の中の秩序は守れない。
リスクには、心理学を含めた難しい技術の理論で構築されているけど、人が「安心」「安全」に暮すための最善策を
共有し、共同で協業することだと理解した。

No comments: